ぼくのレンスペ紹介 9号店:家賃20万・月利24万

家賃がいちばん高い店が、いちばん稼いでいます。

ぼくがやっているダンススタジオの「9号店」です。
家賃は月19.8万円。
ぼくの店の中では、いちばん高い家賃です。

それなのに、いま運営している店の中では、いちばん利益が残っています。
直近1年で、月の利益は平均24.1万円。

店名と場所はふせますが、それ以外は全部出します。
家賃、初期費用、売上、利益、リピート率、うまくいった理由の仮説まで。

これからレンタルスタジオを始める人の、物件選びの物差しになればうれしいです。


どんな店か

  • オープン: 2024年10月(いま2年目)
  • 場所: 住宅街。駅から徒歩2分
  • 広さ:50㎡(ダンスで使えるのは約35㎡)
  • 定員: ダンスなら10人くらい
  • 営業: 朝6時から24時まで、年中無休
  • 料金: 1時間1,000〜2,000円くらい

大きな駅ではありません。
まわりに人が住んでいる、いわゆるふつうの駅です。

この「ふつうの住宅街」が、この店のすべてだと思っています。
理由は、あとで数字で出します。


家賃と、契約でかかったお金

まず家賃です。

項目 金額
家賃 18万円+消費税=19.8万円
契約期間 3年
更新料 家賃1ヶ月分
実際の賃貸借契約書(賃料・礼金・敷金)

実際の賃貸借契約書の一部

ダンススタジオ11店舗の家賃の平均は、11.1万円です。
9号店は、平均の1.8倍の家賃を払っています。

次に、契約のときに払ったお金です。

項目 金額 戻ってくるか
敷金 54万円 退去時に34.2万円まで戻る(19.8万円は償却)
礼金 19.8万円 戻らない
仲介手数料 19.8万円 戻らない
保証会社の初回保証料 19.8万円 戻らない(毎年2万円も別にかかる)
火災保険 2万円 戻らない
契約まわりの合計 115.4万円
入居時の請求書

入居時の請求書(物件名・住所・振込先などは隠しています)

保証会社の契約書

保証会社の契約書。初回に家賃1ヶ月分、翌年から毎年2万円

また、契約が始まってから約1ヶ月、家賃がかかりませんでした。
いわゆるフリーレントです。
これは大家さんに相談して許可をいただきました。

開業の準備をしているあいだは、売上がゼロです。
そのあいだの家賃がないだけで、スタートがかなり楽になります。


初期費用は142万円。鏡代はゼロ

初期費用の合計は、141万9,997円でした。

項目 金額
契約まわり 115.4万円
備品 25.5万円
看板 1.1万円
内装工事 0円
鏡 0円
合計 142.0万円

内装工事と鏡が、ゼロです。

この物件は、最初から壁一面に鏡が付いていました。
幅5m、高さ2m強の大きな鏡です。

鏡を業者さんに付けてもらうと、ぼくの別の店では幅6.5mで53万円かかりました。
それが、まるごと浮いています。

しかも、142万円のうち敷金の34.2万円は、退去のときに戻ってくるお金です。
戻ってこないお金は、実質108万円ほど。

備品の25.5万円は、こんな内訳です。

  • モニターと台: 4.2万円
  • 空気清浄機: 3万円
  • 音響関連: 2.8万円
  • ダンス照明・LEDライト: 2.7万円
  • スツール・テーブル・ホワイトボード: 2.8万円
  • 掃除機2台: 1.4万円
  • スリッパとスリッパラック: 1.3万円
  • 防犯カメラ・キーボックス・チャイム: 0.9万円
  • 三脚・時計・傘立て・電源タップ・カーテンなど、こまごましたもの
初期費用の管理表

実際の初期費用の管理表

ぜんぶネットで買いました。
高いものは、テレビと空気清浄機くらいです。


設備と、この店の特徴

いまの設備はこんな感じです。

  • 幅5mの鏡
  • ダンス用の床
  • 大型モニター
  • 音響関連
  • ダンス用の演出照明
  • エアコン・空気清浄機
  • 更衣スペース・トイレ・洗面台
  • Wi-Fi
  • 三脚・ヨガマット・椅子

備品はぜんぶ無料で使えるようにしています。

使われ方は、ダンスが7割。
残りは、トレーニング、格闘技、演劇の稽古、撮影、ヨガなどです。

「ダンススタジオ」として出していても、体を動かす人なら、だれでも来てくれる店になっています。


集客は、公式サイトと定期利用

開業から2026年5月までの売上を、入ってきた道すじで分けるとこうなります。

経路 売上に占める割合
公式サイト(自社予約) 42%
定期利用 27%
インスタベース 25%
スペースマーケット 6%
月別・経路別の売上表

月別・経路別の売上表(2024年10月〜2026年5月)。定期利用のお客さまの名前は隠しています

売上の7割が、ポータルサイトを通っていません。

ポータルは、最初にお客さんと出会う場所です。
一度来てくれた人には、公式サイトやLINEから予約してもらいます。
LINEの友だち追加で、割引クーポンを出しています。

広告は、Google広告を1日800円ほど。
「ダンス スタジオ レンタル」のような検索で出しています。

そして、定期利用です。
毎週同じ曜日・同じ時間に使ってくれるお客さんが、いま7枠あります。
時間にすると、月に100時間前後。

定期利用は、毎月の売上の土台です。
家賃19.8万円を払えているのは、この土台があるからです。


リピート率と稼働率

公式サイトから予約した人のデータを数えました(2025年4月〜2026年8月)。

  • 利用した人: 336人
  • 2回以上来た人: 49.1%
  • 5回以上来た人: 18.5%
  • 利用日のうち、リピーターが占める割合: 87.3%
リピート率の実測表

公式サイト予約のリピート率の実測メモ(ほかの店の行と店名は隠しています)

1回来た人の半分が、もう一度来てくれます。
そして、利用日の9割近くがリピーターです。

稼働率は、営業時間(1日18時間)のうち、どれだけ予約で埋まったかです。

月 稼働率
2025年8月 61.5%
2025年12月 53.8%
2026年3月 59.5%
2026年6月 63.9%
2026年7月 65.4%

2026年4〜8月の平均で、1日あたり約11時間予約が入っています。

時間帯で見ると、夕方の15〜18時は8〜9割埋まっています。
いちばん人気の時間帯です。


数字をぜんぶ出します

赤字の時期を経て13ヶ月で初期費用を回収したイメージ

利益は、売上から家賃・Wi-Fi・光熱費・広告費を引いた額です。
ぼくの人件費と初期費用は入っていません。

毎月の固定費は、22.85万円です。

期間 売上 利益 月平均の利益
1年目(2024年10月〜2025年9月) 388.2万円 129.6万円 10.8万円
直近1年(2025年8月〜2026年7月) 563.5万円 289.4万円 24.1万円
累計(2024年10月〜2026年7月・22ヶ月) 854.9万円 367.8万円 16.7万円

いちばんいい月は、2026年7月の28.5万円。
8月は速報で31.9万円なので、記録を更新しそうです。

店舗ダッシュボードの2026年7月の画面

自作の店舗ダッシュボード。2026年7月は利益28.5万円・稼働率65.4%・定期利用18.3万円/月

ただ、最初から順調だったわけではありません。

月 利益
2024年10月(オープン月) 9.5万円
2024年11月 −6.6万円
2024年12月 1.9万円
2025年1月 −3.2万円
2025年2月 0.5万円
2025年3月 9.6万円

オープン月がプラスなのは、フリーレントで家賃がかからなかったからです。
家賃がかかり始めた2ヶ月目から、赤字になりました。
トントンの月が、4ヶ月続きました。

そこから4ヶ月で、月20万円を超えるようになりました。


累計の損益は、プラス226万円

初期費用142.0万円に対して、利益の累計は367.8万円。

元が取れたのは、13ヶ月目(2025年10月)でした。

いま(2026年7月まで)の損益は、
367.8万円 − 142.0万円 = プラス225.8万円 です。


うまくいった理由の仮説

ぼくが考えている理由は、3つです。

1. 人が住んでいる駅に出した

ダンスは、1回で終わる趣味ではありません。
毎週練習する。発表会の前は毎日練習する。
だから、近くに住んでいる人が、何度も来てくれます。

リピート率49%は、ぼくの店の中でもトップクラスです。
逆に、学生街に出した店は34%でした。
同じダンススタジオでも、駅の性格でこれだけ変わります。

2. 最初から鏡が付いていた

鏡代の数十万円が浮いて、初期費用が142万円で済みました。
初期費用が軽いぶん、13ヶ月で元が取れています。

3. ポータルに頼りすぎなかった

最初の出会いはポータル。
2回目からは、公式サイトとLINE。
そして、気に入ってくれた人には定期利用。

この流れができたので、売上の7割が自社の予約になりました。


うまくいっていないこと

いいことばかりではありません。

床に、ヒールの跡がつく。
ヒールの靴は禁止にしていますが、はじめてのお客さんが知らずに使ってしまうことがあります。
防犯カメラで確認して、1件ずつ対応しています。

近所から、自転車の苦情。
駐輪場がない物件なので、お客さんが店の前に自転車を止めてしまいました。
張り紙でお願いして、いまは落ち着いています。

夕方は満室で、取りこぼしている。
15〜18時は8〜9割埋まっていて、入りたくても入れない人がいます。
値上げを考えていますが、まだやっていません。


ここから見えたこと

9号店をやってみて、ぼくの物件選びは変わりました。

家賃の安さより、駅のまわりに人が住んでいるか。

家賃が平均の1.8倍でも、リピーターと定期利用で埋まれば、利益はいちばん残ります。
逆に、家賃が安くても、人が住んでいない場所では、毎回新しいお客さんを探しつづけることになります。

鏡付きの物件は、見つけたら即決。

鏡代が浮くだけで、回収が数ヶ月早くなります。

満室の時間帯は、値上げのサイン。

これは、ぼくもまだできていない宿題です。


これから始める人へ

もし、これからレンタルスタジオを始めるなら、3つだけ伝えたいです。

1. 住宅街の、駅近の物件を探す

ターミナル駅より、人が住んでいるふつうの駅。
徒歩5分以内。
ここにリピーターがいます。

2. 最初の半年ぶんの家賃は、手元に残しておく

9号店でも、トントンの月が4ヶ月続きました。
初期費用とは別に、家賃の数ヶ月ぶんの余裕があると、あわてずに済みます。

3. 2回目からは、自分の店で予約してもらう

ポータルは出会いの場所。
公式サイトとLINEで、2回目の予約を取る。
それが、家賃が高くても利益が残る店の作り方です。


まとめ

家賃19.8万円、初期費用142万円。
13ヶ月で元を取って、いま月24万円残る店になりました。

あなたが気になっている物件の駅は、人が住んでいる駅ですか?
まずは駅のまわりを、夕方に歩いてみてください。


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